「家をフルリフォームしたいけど、どれくらい費用がかかるの？」「住みながらの工事は可能？」「築年数が古くてもできる？」そんな疑問を持つ方は少なくありません。
リフォームプラスの本記事では、手すりについて丁寧に解説。実際の事例や補助金制度も紹介し、安心してリフォームを進めるためのガイドをお届けします。
自宅や実家のバリアフリー化を考えたとき、まず検討したいのが「手すり」です。転倒やふらつきを防ぎ、立ち上がり・移動・段差の昇降をサポートしてくれる一方で、選び方を間違えると「持ちにくい」「邪魔になる」「危険が増える」こともあります。
手すり選びで重要なのは、材質・種類（形状）・設置位置と高さの3点。この記事では、手すりの種類を比較しながら、場所別に失敗しない選び方を解説します。
手すり選びで比較すべき3つのポイント
- 材質：触り心地・滑りにくさ・耐久性・設置環境（水回り/屋外）
- 形状（種類）：立ち上がり補助か、移動補助か、両方か
- 高さ・位置：体格・利き手・動作（立つ/歩く/跨ぐ）に合っているか
この3つをセットで考えることで、「とりあえず付けたけど使いにくい」という失敗を減らせます。
手すりの材質を比較｜木・樹脂（プラスチック）・ステンレス
手すりは主に「木」「樹脂」「ステンレス」が選ばれます。それぞれの特徴を把握して、設置場所に合うものを選びましょう。
木製手すり｜室内向きで握りやすい
- 手にやさしい感触で、冷たさを感じにくい
- ナチュラルな内装と相性がよく、見た目が馴染みやすい
- 水に弱いので、浴室など常に濡れる場所には不向き
廊下・階段・居室など「乾いた室内」におすすめです。
樹脂（プラスチック）手すり｜水回りに強いが滑り対策が重要
- 耐水性が高く、トイレ・洗面・浴室で採用されやすい
- 軽量で施工しやすいタイプが多い
- 濡れると滑りやすい素材もあるため、表面加工や形状の確認が必要
水回りでは、滑り止め形状や握りやすい太さのものを選ぶと安心です。
ステンレス手すり｜屋外・玄関アプローチに強い
- 頑丈で錆びにくく、屋外設置に向く
- 清掃しやすく、耐久性が高い
- 熱を伝えやすく、冬に冷たく感じたり夏に熱くなることがある
屋外では、樹脂でコーティングしたタイプや、握り部が樹脂カバーのものを選ぶと季節の不快感を軽減できます。
手すりの種類（形状）を比較｜縦型・水平型・L字型
動作に合った形状を選ぶことが、使いやすさと安全性に直結します。
縦型手すり（I型）｜立ち上がり・段差の補助に強い
床に対して垂直に設置するタイプ。出入り口や段差の近くで活躍します。
- 立ち上がりの補助
- 姿勢の安定
- 扉の開閉時の支え
玄関の上がり框付近、トイレ入口付近などに向きます。
水平型手すり｜移動をサポートし転倒を防ぐ
床と平行に横向きに設置するタイプ。階段に沿って斜めに取り付けるものも「水平型の仲間」として考えると分かりやすいです。
- 歩行・移動の補助
- ふらつき防止、転倒・転落防止
- 長い距離の移動がラクになる
廊下・階段・浴室出入口の動線など、移動の多い場所に適しています。
L字型手すり｜立ち上がりと移動を1本で支える万能型
縦型＋水平型を組み合わせた形。狭い空間でも動作が多い場所で重宝します。
- 座る・立つ・向きを変える動作をまとめて補助
- 身体の重心移動を助けやすい
- トイレ・浴室などの限られたスペースに向く
ただし、便器や浴槽に近すぎる位置に付けると、腕の力が必要になり逆に危険になることがあります。
設置場所別｜手すりの種類と高さの目安
ここからは、設置場所ごとに「選ぶべき形状」と「高さの考え方」を整理します。最終的には利用者の体格・動作に合わせて調整するのが基本です。
玄関｜段差を超える動作に合わせる
- おすすめ形状：斜め（階段沿い）＋縦型、またはL字型
- 高さの目安：床から約75cm前後
上がり框の段差でふらつきやすいため、段差を上がった状態で「肩より少し上」に手が来る縦型が使いやすいケースもあります。
廊下｜移動補助がメイン
- おすすめ形状：水平型
- 高さの目安：床から75〜85cm前後
目安としては、腕を自然に下ろした状態の「手首あたり」に合わせると、力を入れやすくなります。杖を使う方は杖の高さも参考になります。
階段｜転倒・転落を防ぐ最重要ポイント
- おすすめ形状：階段勾配に沿った手すり（連続設置）
- 高さの目安：踏み面から70〜80cm前後
階段手すりは下から上まで切れ目なく設置することが重要です。高すぎると重心が後ろに寄って危険になるため、「握ったときに体が引っ張られない高さ」を意識しましょう。先端金具は衣類が引っかかりにくい形状を選ぶと安心です。
トイレ｜立つ・座る動作を支える
- おすすめ形状：L字型（状況により水平＋縦型の組み合わせ）
- 高さの目安：便座面から手を置く位置まで23〜30cm程度
縦部分は、立ち上がったときに「身体の前方に手すりが来る」位置が使いやすい傾向です。便器に近すぎると手が後ろになり、肩や背中に負担がかかるため注意しましょう。
浴室｜滑りやすい環境なので持ち替えしやすさが鍵
- おすすめ形状：L字型、または水平型＋縦型の併用
- 高さの目安：浴槽の縁から10〜15cm上に水平型
浴室は濡れて滑りやすいので、どの姿勢でも握りやすい配置が重要です。縦型は立ち上がった際に肩の高さ〜肩より少し高い位置が目安になりやすいですが、実際の動作確認が欠かせません。出入口の動線に水平手すりを追加する方法も有効です。
手すり設置でよくある失敗例と対策
見た目だけで材質を選び、設置場所に合わない
水回りに木製を選んで傷みやすくなる、屋外に樹脂を選んで劣化が早いなど、環境に合わない材質選びは失敗のもとです。設置場所の「濡れ」「直射日光」「温度差」を先にチェックしましょう。
高さが合わず、結局使われない
手すりは「設置したら終わり」ではなく、利用者が毎日使ってこそ意味があります。身長・利き手・動作を確認し、可能なら仮位置で握ってから決めると失敗を減らせます。
下地がない場所に取り付けてグラつく
手すりは体重がかかるため、壁の下地（補強）に固定するのが基本です。石膏ボードのみの場所に無理に固定すると、転倒リスクが高まります。
DIY設置は慎重に｜安全性を最優先に
手すりは「転倒を防ぐための設備」なので、取り付けが甘いと逆に事故につながります。下地確認や補強、適切なビス選定など専門性が必要な場面も多いため、基本はリフォーム会社や建築士に相談するのが安心です。
特に、階段・浴室・玄関アプローチなど危険度が高い場所は、プロ施工を前提に検討することをおすすめします。
まとめ｜手すりは“種類比較”より「場所と動作」に合わせて選ぶ
手すりの選び方は、材質・形状・高さをセットで考えることが大切です。
- 室内は木製、濡れる場所は樹脂、屋外はステンレスが基本
- 立ち上がりは縦型、移動は水平型、両方ならL字型
- 高さは目安を参考にしつつ、利用者の体格と動作で最適化する
安全で使いやすい手すりを選べば、日常の不安が減り、暮らしの自由度が上がります。設置場所ごとのポイントを押さえて、無理のないバリアフリー改修を進めていきましょう。
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