和室から洋室へ|畳→フローリングの工法・費用・注意点を実務目線で総まとめ

「家をフルリフォームしたいけど、どれくらい費用がかかるの?」「住みながらの工事は可能?」「築年数が古くてもできる?」
そんな疑問を持つ方は少なくありません。
リフォームプラスの本記事では、和室から洋室へのリフォームについて丁寧に解説。実際の事例や補助金制度も紹介し、安心してリフォームを進めるためのガイドをお届けします。

「和室を洋室にしたい」「畳をフローリングへ替えたい」。本記事では、張り替え工法重ね張り工法の違い・費用相場・工期のほか、素材選び、防音・湿気・段差の対策、マンション規約や戸建て特有のポイント、補助金やDIYの可否までを、施工現場の視点で整理します。

和室を洋室にする2つの基本工法

1. 張り替え工法(畳を撤去して下地から新設)

  • 概要:畳・床下地を部分調整または新設し、フローリングを張る。
  • メリット:仕上がりがフラットで美しい/段差解消がしやすい/下地点検で腐朽やシロアリに対応可。
  • デメリット:解体・産廃費がかかり、工期・費用はやや増加。
  • 工期目安:6畳で1~2日(下地補修の有無で前後)。

2. 重ね張り工法(畳の上に直張り材等を施工)

  • 概要:畳を撤去せず、その上に直張りタイプなどを敷設。
  • メリット:短工期・低コスト/二重層で一定の遮音性向上が見込める。
  • デメリット:湿気がこもりやすい/局所的な段差が出やすい/下地劣化を把握しづらい。
  • 工期目安:6畳で半日~1日。

費用相場(畳→フローリング)

仕上げ工法4.5畳6畳8畳備考
複合フローリング張り替え約10万円約16〜19万円約21〜24万円量産帯~機能性で変動(防音・床暖対応など)
複合フローリング重ね張り約8万円約13〜16万円約18〜21万円畳状態が良好であることが前提
無垢フローリング張り替え約13万円約22〜27万円約28〜33万円樹種・等級で大きく変動(ナラ/オーク/杉 等)
無垢フローリング重ね張り約11万円約19〜23万円約25〜29万円湿気管理と反り対策が鍵

※地域単価・既存下地・造作の有無・建具調整・電気工事などで上下します。

素材の選び方|無垢か、複合か

項目無垢フローリング複合フローリング
質感・経年温かみ・経年変化を楽しむ均質・メンテ性に優れる
耐水・耐傷弱め(塗装・ワックスで補う)強い製品が多い(傷・汚れに強い)
遮音・床暖配慮・構成検討が必要遮音直貼り/床暖対応の選択肢が豊富
価格帯やや高め(樹種依存)幅広い価格と機能

マンションと戸建ての注意点(中立ガイド)

  • マンション:管理規約の遮音等級(例:LL-40~45相当)や直貼り可否を確認。共用部・搬入経路・工事時間帯・申請手続きを事前に。直天井/二重天井の把握、配線・配管の干渉確認も必須。
  • 戸建て:床下点検で断熱・換気・白蟻リスクをチェック。段差解消と同時に床下断熱を強化すると体感改善が大きい。玄関や隣室とのレベル差は見切り材で安全に納める。

よくある課題と対策

1. 段差・見切り

畳厚(約40〜50mm)→フローリング(約12mm)で段差が発生しがち。
張り替えで根太調整しレベルを合わせるか、重ね張りでは先端が斜めの床見切りでつまずきを回避。

2. 防音(特に集合住宅)

  • 直貼り遮音フローリング(遮音等級表記)を採用。
  • 下地に遮音下地・吸音材を併用(規約と施工厚に留意)。

3. 湿気・カビ

  • 重ね張りは畳内部に湿気がこもりやすい。防湿シート・換気計画・除湿運用を併用。
  • 無垢は吸放湿で反りや隙が出やすい。室内湿度40〜60%を目安に管理。

4. 冷え・体感温度

  • 床下断熱の追加、床暖対応材の採用、ラグ・コルク等で足裏環境を調整。

施工の流れ(6〜8畳・標準例)

  1. 現地調査:下地・白蟻・配線・レベル差を確認、既存建具の当たりも点検。
  2. プラン・見積:仕上げ品番、見切り形状、遮音・断熱構成を確定。
  3. 養生・解体:畳撤去(重ね張りは省略)→下地補修。
  4. 施工:断熱・遮音→フローリング張り→見切り・巾木。
  5. 建具調整・清掃:扉干渉の微調整、完了検査・引渡し。

補助金・支援の考え方

  • 介護保険の住宅改修費:手すり・段差解消などバリアフリー目的の改修に利用可。自己負担1〜3割で上限20万円相当の枠を活用(対象や申請手続は自治体・ケアマネに確認)。
  • 自治体の住宅改修支援:高齢者・子育て・省エネ(断熱強化)関連の補助がある地域も。募集時期・要件は自治体告知を確認。

DIYはどこまで可能?

  • DIY向き:シール式フロアタイル/置き敷きフロア(賃貸可のものも)。
  • プロ推奨:下地補修を伴う張り替え、遮音直貼り材、建具レベル調整、配線・床暖併設など。
  • 安全:二人作業・保護具・粉塵養生を徹底。電気工事は有資格者に依頼。

失敗しないためのチェックリスト

  • 管理規約(集合住宅)/防音等級の確認
  • 段差の納まり図(断面)と見切り仕様
  • 仕上げ材の品番・性能(耐傷・遮音・床暖・ワックス要否)
  • 下地含水・白蟻・腐朽の有無(写真記録をもらう)
  • 建具干渉・レベル差の調整方針
  • 保証範囲とアフター(反り・きしみ・隙の扱い)

まとめ|“段差・防音・湿気”の三点を押さえれば満足度が上がる

和室から洋室への変更は、空間の使い勝手と印象を大きく改善します。
段差の納まり・防音等級・湿気管理の3点を軸に、工法(張り替え/重ね張り)と素材(無垢/複合)を選び、現地調査でリスクを事前に潰すことが成功の近道です。まずは現状の床下状態を可視化し、複数案で見積比較してから決めましょう。

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